2025-08-23 22:30:50 配信

異常な猛暑で新米価格に影響も…米どころ新潟“異例の事態”

連日の猛暑で心配されるのは、コメ価格への影響です。コメの収穫量日本一の新潟では、一等米が極端に少ない、異例の事態になっています。(8月23日OA「サタデーステーション」)

■稲が変色 収穫量減少の恐れ

23日、米どころ日本一の新潟県で始まったのが…。

報告・庄賀由花ディレクター(23日 新潟・見附市)
「一面に稲が広がっています。暑い中、いま収穫作業が行われています」

農家の岩渕さんが育てた早場米「こしいぶき」。収穫すると、ある異変が見られました。

コメ農家 岩渕忠男さん
「青いのが多いんですよ。青いのはほとんど整粒じゃないんで」

青い粒は、実が詰まっていないものもあり、収穫量に影響が出そうだといいます。

コメ農家 岩渕忠男さん
「クズ米になるんですよ。収量は半分くらいですよ、例年の」

コメの出来に懸念があると嘆くのは、岩渕さんだけではありません。

報告・神宮桃子ディレクター(22日 新潟・柏崎市)
「こちらの田んぼなんですけれども、穂が少し下がっています。収穫が少しずつ近づいてきています」

6種類のコメを育てている徳永さん。心配していたのは、育てている稲が変色していること。

株式会社徳永農園 徳永逸雄さん
「こういうふうに枯れちゃってますよね。これほら、穂が全然出ていない。水不足で全体に生育が遅れている」

順調に育っている稲は、垂れ下がるほど実がついていますが、生育が遅れている稲は、ほとんど実が見えません。

株式会社徳永農園 徳永逸雄さん
「これはひどい。何割くらい減収しますかね」

徳永さんは、暑さに強い品種に切り替えて栽培してきましたが、今年は予想外の水不足に見舞われたと言います。気象庁によると、7月の柏崎市の降水量はわずか7ミリでした。去年は270ミリほどでしたので、圧倒的に少なかったことがわかります。見えてきた収穫量が減ってしまう懸念。

■一等米の割合減少 猛暑が影響か

一方でコメの出来はどうだったのでしょうか?今日、新潟県内では特に収穫の早い品種「葉月みのり」の出来を見極めていました。

農産物検査員(23日 新潟・柏崎市)
「一粒一粒目視で確認します。おコメの形だったり色だったりを中心に見ています」

透けるような色味のコメが、全体の70パーセント以上となると一等米の評価になりますが、白く濁ったような色味の粒が多いと二等米になります。今年のコメの品質を占うとも言われる今回の検査。徳永さんも見守ります。

農産物検査員(23日 新潟・柏崎市)
「(Q結果は?)一等で。決まりです」

株式会社徳永農園 徳永逸雄さん
「頑張った社員の皆さんの努力かなと思って嬉しく思います。よかったです」

実は、徳永さんの“一等米”は、JAの23日までの検査の中では初めてのことで、97%が二等米以下でした。

JAえちご中越担当者
「一番大事な時期が高温だったりすると、もろに白濁したコメですとか影響を受けてしまう。そういった点では今年はかなり気象的に厳しい年であったかなと思います」

二等米でも味わいは変わらないと言いますが、粒が小さくなると言います。

JAえちご中越担当者
「精米する時に割れているおコメですと砕けてしまいますし、商品になる量が減る可能性がある場合があります」

■新米販売スタートも…価格は高騰

23日、「葉月みのり」の販売が始まったお店では…

報告・庄賀由花ディレクター(23日 JAえちご中越農産物直売所「愛菜館」)
「午前9時前です。かなり日差しが強い中、多くの方が待っています」

新米を買いに来た客
「23日に売り出しってことなんで、夜も眠れないほど興奮してきました」

オープンすると、店内は熱気で包まれました。多くの人が1人で何袋も購入していきます。23日は600袋売れました。

気になるお値段ですが、5キロ4080円と去年の2880円と比べると1.4倍に値上がりしました。

新米を買いに来た客
「もしかしたらもうちょっと安いのかなとは思ったけど、新米だし美味しいし、農家さんのことを考えたら今まで安かったのかなという気持ちがあります」
「(値上がりは)かなり痛いです」

去年以上に高いコメの価格。今後、どうなるのでしょうか?主力のコシヒカリは来月上旬に収穫されます。

■気になる今年の新米の価格は?

高島彩キャスター
「各地で2025年産の早場米が出回り始めていますが、9月以降に収穫される新米の価格はどうなるのでしょうか?」

桝田沙也香アナウンサー
「全国のスーパーで販売されている最新のコメ5キロあたりの平均価格(8月4日~10日)は3737円で、前の週よりも195円値上がりしています。では、9月以降に収穫される2025年産・新米コシヒカリの価格はどうなるのか?コメの流通に詳しい日本国際学園大学の荒幡克己教授に予想してもらいました。新米コシヒカリは5キロあたり、4200円くらいになるということです」

高島彩キャスター
「新米なので高めになるのは当然ですが、他にも理由はあるのでしょうか?」

桝田沙也香アナウンサー
「大きな理由は2つあります。1つ目は概算金の大幅な引き上げです。JAが収穫前に農家に前払いする概算金が集荷競争の影響で全国的に上昇。新潟産コシヒカリの1等米は60キロあたり3万円と、去年と同じ時期に比べて76%も引き上げられているんです」
「そして、理由の2つ目が“コメの不足感”が解消していないことです。備蓄米の放出で全体の価格は下がってきましたが、新米の相場は、前の年の価格を引き継ぐ傾向があり、去年同様の高値で推移するのではといわれています。ただし豊作となれば11月から 12月ごろには4000円を割り、3900円程度まで下がる可能性もあると荒幡教授は予想しています」

高島彩キャスター
「期待はしたいですが、猛暑や水不足の影響もあったので収穫がどうなるかですね。そして、政府は随意契約の備蓄米の販売期限を延長するとしていますが新米価格への影響はどうなんでしょうか?」

桝田沙也香アナウンサー
「荒幡教授によれば、影響はほとんどないとのことです。店頭には、新米、昨年の銘柄米、備蓄米、ブレンド米、輸入米と、それぞれの価格帯で並ぶことになりそうです」

高島彩キャスター
「選択肢は増えるなと思いますが、柳澤さんはどうご覧になりますか?」

ジャーナリスト柳澤秀夫氏
「高いお米、安いお米、幅が広がるということは財布と相談しながら、消費者にしてみれば決して悪いことではないと思うんですけど、使い道という意味でいうと、高島さんはどうでしょうか?」

高島彩キャスター
「私は新米は白米で美味しく食べたいですが、チャーハンなど炒めたりするのはブレンド米とか使いながら、というふうに考えています」

ジャーナリスト柳澤秀夫氏
「収穫量も今年の気候でどうなるか分からない部分ありますから、まだまだちょっと予断を持って、どうなるかということは見通せないですね」

高島彩キャスター
「生産量の見通しは不透明ですけれども、政府が増産の後押しになるような支援をできるのか、そのあたりも見ていきたいと思います」

トップへ戻る