2025-04-29 19:14:30 配信

トランプ大統領「就任100日の通信簿」専門家は?

 トランプ大統領がまもなく就任100日を迎えます。関税やウクライナ問題など混乱に満ちた、この100日間をどう評価するのか、2人の専門家に聞きました。

■「就任100日」専門家の評価は?

 プロフットボール「NFL」の王者をホワイトハウスに招待したトランプ大統領。

トランプ大統領
「この素晴らしい王者と一緒にいられて光栄だ」

 大統領に返り咲いてから100日目を迎えようとしています。

 通常、就任から100日は「ハネムーン期間」と呼ばれ、高い支持率が維持されますが…。

CNN
「最新の調査では支持率は41%です。第1期目の同じ時期よりも低く、過去70年間のどの大統領よりも低くなっています」

 第1期目、2017年の同じ時期と比べると確かに支持率は低く、不支持率は高くなっています。

早稲田大学 中林美恵子教授
「まずはトランプ氏が大統領に選ばれた理由であるアメリカファースト、アメリカ国内への産業の回帰、アメリカを再び偉大な国にするというところがどこまでできたのか、(アメリカ)国内の政策の問題。2つ目が、今世界中が翻弄(ほんろう)されている貿易を中心とした関税政策、そして経済政策の問題。3つ目がウクライナやガザなどに代表される安全保障の問題で、トランプ氏がどのくらい約束を果たしているのか」

上智大学 前嶋和弘教授
「あくまでも日本からの視点で言うと1つは貿易関係、もう1つは安全保障。この2つが両輪なんですけど、それとともにアメリカというのは世界のリーダーですので国際秩序をどう築いて、これを推進していくかというポイントかと思う」

 それぞれ10点満点で点数を付けると何点でしょうか。

早稲田大学 中林美恵子教授
「関税の問題ですけど、これはある程度約束したことをやっている意味合いがあるが、世界中を敵に回しているような側面があり10点中2点くらい。トランプ氏はそうすることで、アメリカに産業が回帰すると宣言。まだその成果はとても見えない状況です」

上智大学 前嶋和弘教授
「日本からの視点となると、ちょっと厳しく付けざるを得ない。貿易政策に関しては3、やはり関税。関税というのは日米関係のこれまでの友好関係を切っちゃうようなターニングポイントになる。様々な関税、自動車関税の25%、相互関税いま10%、今後またこれが上がっていく。90日の猶予はありますけど、どうするのかというところかと」

 安全保障の評価はどうでしょう。

早稲田大学 中林美恵子教授
「安全保障の問題では、やはり一日のうちにウクライナ戦争を終わらせることができると豪語したわりには、いまだにあの戦争は解決していません。ですから10点中1点。ウクライナとロシアとの仲裁ですけど、どうもロシアに相当、寄り添った解決策を示している。これではアメリカ国民のみならず、世界中の国民がどうして侵略戦争をしかけた方が得をしなければならないのかという大きな疑問を抱くに至っています。ガザの戦闘についても、いったんは停戦が成立して胸をなでおろしていた世界の目も次の段階に進むことができなくて、結局、また停戦が破られている状況。本当に口で約束した通りになっていないということを、はっきりを見てしまっていることになる」

上智大学 前嶋和弘教授
「安全保障は2。トランプ政権がスタートして、ヨーロッパとの関係をかなり見直しています。これがアジアに投影されたら日本や韓国、アメリカの同盟国、友好国がやはり同じように見直される可能性はある。通常、アメリカの大統領なら同盟国、友好国を大切にしてそこから動いていくが、トランプ政権の場合、同盟国、友好国はアメリカを食い物にしてきたというロジック。トランプ政権が言っていると思われるのが、駐留米軍の財政負担、いわゆる“思いやり予算”。日本はアメリカの同盟国のなかで最も“思いやり予算”を出していて、8割以上出しているという話だが、トランプ氏によると、なぜ100%じゃないんだと。120%、200%みたいな話すら出てくる」

 中林教授は国内政策に関しては高い点数を付けます。

早稲田大学 中林美恵子教授
「国内政策についてはトランプ氏が選挙戦で約束したことの多くを実行している。内容がいいか悪いかは別として、相当実行しているという意味でハネムーン期間の100日にしては7点くらい」

 前嶋教授は、国際秩序におけるアメリカの役割にも注目します。

上智大学 前嶋和弘教授
「国際秩序作りは1点。グローバルガバナンスの核にいたのがアメリカ、あるいはアメリカが作ってきた国際組織。そのアメリカが国際秩序から抜けてしまう。国連の関連の機関、組織からアメリカは抜けていく。気候変動対策、パリ協定からも抜けるとか、そしてアメリカが国際組織に様々な形で出していたお金も引き上げていくとなると、世界のリーダーがいない状況になります。“世界の核”がない時代に我々は入ってしまっているかもしれない」

(C) CABLE NEWS NETWORK 2025

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