2025-06-08 22:02:56 配信

【実用外交の李政権始動】米韓首脳は協力確認“在韓米軍を再編”東アジア安全保障は

李大統領が6月4日、国会で就任宣誓を行い、国民統合と実用外交を掲げて本格始動した。4年ぶりの政権交代となった今回の大統領選挙では、李氏が49.42%の得票で、保守系「国民の力」金文洙氏を破った。就任から2日後の6月6日夜、李氏はトランプ米大統領と初の電話による首脳会談を実施。約20分間にわたり韓米同盟の今後について協議し、両首脳は「緊密な協力」を確認した。トランプ氏は李氏に訪米を要請しており、6月15日から開催されるG7首脳会議の場で初対面が実現する可能性も取り沙汰されている。李氏は、「堅固な韓米同盟を土台に、韓米日協力を強固にし、周辺国との関係も国益と実用の観点からアプローチする」と強調。対米一辺倒からの脱却を滲ませる一方、中国やロシアなどとの関係も安定的に管理する意向を示した。

安全保障を巡っては、在韓米軍の存在とその再編成が大きな焦点となっている。日本の防衛省によると、現在、約2万8500人規模で駐留する在韓米軍は、1957年に創設され、朝鮮半島の軍事バランス維持に不可欠とされてきた。しかし、5月22日付の米経済紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」は、米政府がそのうち約4500人をグアムなどインド太平洋地域へ再配置する案を検討していると報じた。ブランソン在韓米軍司令官は「在韓米軍は北朝鮮の撃退だけに焦点を当てない」との基本方針を示したうえで、「(韓国は)日本と中国本土の間に浮かぶ島か、固定された空母のようだ」との発言を行っており、駐留の意義は対中戦略に重点を置きながら、朝鮮半島防衛から東アジア全体の安全保障へとその範囲を広げつつある。

東アジアの安全保障環境が再び揺れている。米国の対中強硬派として知られるエルブリッジ・コルビー国防次官(戦略担当)は2024年5月6日、韓国の聯合ニュースとのインタビューで、朝鮮半島と中国を同時に相手取る戦力配分について、「米国は、北朝鮮と戦いながら中国とも戦える十分な軍事力を保有していない」と明言した上で、「私に決定権があるならば、在韓米軍を置かない」と自身の見解を示していた。

トランプ政権下では、対北朝鮮政策の見直しも進行中とされている。トランプ氏は、「金正恩総書記とは非常に良好な関係にある」としている。一方、米メディア「アクシオス」は4月27日、トランプ氏が北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記との再会談に強い意欲を示しており、ホワイトハウス内で国家安全保障チームが既に、「初期計画」を進めていると報じた。元米政府高官によれば、「金総書記からの手紙一通で、トランプ政権はすぐに動き出す準備がある」としており、実現の可能性を伝えている。

★ゲスト:渡部悦和(元陸上自衛隊東部方面総監)、牧野愛博(朝日新聞元ソウル支局長)
★アンカー:杉田弘毅(ジャーナリスト/元共同通信論説委員長)

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