2025-10-18 22:30:09 配信
“変わるお台場の街” 構想から40年…設計者と振り返る「臨海副都心の街づくり」

■街のシンボル 巨大観覧車も姿消す
報告・仁科健吾アナウンサー(3日 東京・江東区)
「いま、トヨタアリーナが開場しました。大勢の方が一斉に入り口の方に向かっていきます」
今月3日、東京・お台場に新スポットがオープン。地上6階、地下1階建ての「トヨタアリーナ東京」。バスケットボールの「りそなグループBリーグ」や国際試合が開かれ、イベント会場としても活用されます。
来場者
「コートの距離が近いのですごく迫力がある」
「ここが出来たから(お台場に)来るようになります」
その一方で…
報告・仁科健吾アナウンサー(3日 東京・江東区)
「大江戸温泉があった場所は更地となっています」
「船の科学館は今まさに解体作業が進められています」
近年は、周辺にあった大江戸温泉物語が閉館。船の科学館の本館も解体されました。お台場のシンボルだった巨大観覧車も姿を消しました。
東京駅や渋谷駅周辺の大規模再開発が進む中、相対的に存在感は低下。今年で構想から40年。紆余曲折の歴史を辿ってきたこの地が、新たな局面を迎えています。
■強いられた街づくり計画の変更
臨海副都心は、台場に青海、有明北と有明南の4つの地区に分かれ、総面積は442万平方メートル、東京ドームおよそ94個分に相当します。元々、海だったところを埋め立てたことから始まり、東京都が1985年から「東京テレポート構想」として、未来型都市を目指し開発を進めてきた、事業費2兆円を超える巨大プロジェクト。
鈴木俊一都知事(1986年 都議会)
「国際都市東京のインテリジェントビジネスセンターであるとしています」
完成予想の模型には、中心となるセントラル広場の周辺にオフィスビルが立ち並んでいました。しかし、現在の街の様子を空から見てみると、セントラル広場の周辺にはビルがなく駐車場が広がっていました。
なぜ当初の計画通りに開発が進まなかったのでしょうか。サタデーステーションは東京テレポート構想の設計などに関わった平本さんに話を聞くことができました。
仁科健吾アナウンサー
「どういった目的で臨海エリアを開発したんですか?」
臨海副都心の設計などに関わった平本一雄さん
「東京をグローバルシティにしたい。情報化・国際化を進めるためのセンターが必要だと」
私たちに見せてくれたのは38年前の完成予想図。そこには、建設前のレインボーブリッジなどが描かれていました。平本さんは、マンハッタンのような夜景を楽しめる街を思い描いていました。
臨海副都心の設計などに関わった平本一雄さん
「ここに立ってのイメージ、これはマンハッタンです。この夜景を見ながら食事をしていて、こういう場所を東京にも作りたい…」
しかし、計画はいきなりつまずきます。いわゆる“バブル崩壊”です。入居予定だった企業が相次いで撤退。ビジネスセンターの建設は進まず、計画の変更を余儀なくされました。
レインボーブリッジやゆりかもめなどは完成したものの、さらに決定的な出来事が…。1996年に開催を控えていた世界都市博覧会をめぐり、当時の新旧都知事たちが対立。
鈴木俊一都知事(当時)
「青島さんによく私の気持ちを引き継いで…」
青島幸男都知事(当時)
「(都市博は)中止の方向で進めていきたい…」
1995年、鈴木都知事のあとを継いだ青島都知事が、バブル崩壊による経済状況を踏まえ、博覧会の開催まで1年を切ったところで中止を決定。パビリオンの建設も進んでいたため現場は“大混乱”だったといいます。
臨海副都心の設計などに関わった平本一雄さん
「(博覧会中止で)5年間ぐらい…空白の時間があったように思うんですね」
その後、1997年にフジテレビが移転。2012年、等身大のガンダムがあるダイバーシティ東京が開業するなど、当初計画していたビジネスセンターではなく観光地にその姿を変えました。
■再び街づくりが始動 新たな地下鉄路線の開業も…
東京テレポート構想から今年で40年。都は、臨海副都心の魅力向上のため再び力を入れています。来年春には、整備費およそ26億円、ソメイヨシノをモチーフにした世界最大級の巨大噴水ショーが始まります。
さらに、課題だったアクセス向上のため、東京駅から有明の東京ビッグサイトを結ぶ新たな地下鉄路線の開業を目指しています。
来訪者の利便性を高める取り組みも始まっています。今月10日から電気で走る次世代モビリティの運行がスタート。東京テレポート駅や、有明、トヨタアリーナ東京などを周ります。小池都知事に開発の現状と今後について聞きました。
小池百合子都知事(10日都庁)
「街づくりも新たなステージへと入ったのかなと。まだまだこの地域は可能性を秘めています。ポテンシャル高いです」
都市開発に詳しい専門家は。
東京大学都市工学専攻 中島直人教授
「他の副都心と何が違うか、海がポテンシャルなんですよね、圧倒的な。海だけじゃなくて、非常に広大な土地がある。新しい街を目指してまた街づくりが進んでいけばいいなと」
◇
高島彩キャスター
「開発構想のスタートから40年の節目という臨海副都心ですけれども、このあとどんな施設ができるのか見ていきます」
板倉朋希アナウンサー
「今月開業した「TOYOTA ARENA TOKYO」。来年3月末には、海上に世界最大規模の噴水ショーが始まります。さらに、今年はKONAMIの次世代研究開発拠点が完成して、また来年3月27日にはテレビ朝日が手がける複合型エンターテインメント施設「東京ドリームパーク」が開業します」
高島彩キャスター
「これまではアクセスが難しかったんですよね」
板倉朋希アナウンサー
「アクセスで言いますと、東京駅周辺と臨海地域を結ぶ地下鉄をつくるという構想もあるということなんですね」
高島彩キャスター
「レインボーブリッジを渡るとすごくわくわくする感覚もあるんですけれども」
ジャーナリスト柳澤秀夫氏
「僕はもうちょっと若い頃は、夢の島っていう言葉もあったぐらいだから、未来を象徴する明るい夢の島。今の時代の夢の島になってほしいなって気がしますけどね」
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