
日米の2度目の関税交渉が来週にも行われるなか、過熱する国との「駆け引き」が日本に追い風となりそうなんです。
■駆け引き過熱?日本の新カードは?
アメリカで開幕したG20=財務相中央銀行総裁会議。日本からは、加藤大臣と日銀の植田総裁が出席しています。
議論の中心にあるのは、もちろん「トランプ関税」です。
加藤財務大臣
「米国の関税措置と一部の国の対抗措置や、それがもたらす不確実性が足元の為替を含む金融市場を不安定にし、実体経済に悪影響を及ぼしていると指摘しました」
会議では、各国からも関税についての言及が相次いだといいます。
そのアメリカとの交渉にあたる赤沢経済再生担当大臣。
政府関係者への取材で、日本時間30日から再び訪米し、来月1日にも2回目の協議を行うことで調整していることが分かりました。
関税交渉担当 赤沢経済再生担当大臣
「何を入れて何を重点的に話し合うのか、時間が限られたなかで、お互いウィンウィンの合意を目指すということなので、それぞれ優先順位があって、関心が高いものをメインにテーブルに乗せて話し合うことになるので、それが何なのかというのを2回目くらいにはおおよそ決めたいなと」
2回目の交渉では引き続きアメリカに対する投資実績などをアピールし、交渉を本格化させる考えですが…。
日本政府、実は今アメリカと“あの国”の駆け引きを注視しているといいます。
■対中“関税”引き下げか
政治部 官邸サブキャップ 澤井尚子
「トランプ大統領が、どこまで中国に対する態度を軟化させるかで、日本の出方も変わってくるだろうと総理周辺は話している」
トランプ大統領
「145%の関税は高いが、それより高くなることはないだろう」
「(Q.今後どの程度下げるつもり?)ゼロとはいかないが、大幅に下がる」
トランプ大統領が示唆した中国への関税の大幅な引き下げ。
現在、アメリカは中国に対して145%の追加関税を、中国はアメリカに対して125%の追加関税を発動している状況で、ベッセント財務長官いわく「両国が実質的な輸入禁止措置をとっているようなもの」だそうです。
国連の安全保障理事会では…。
中国側
「今回の貿易戦争はアメリカが世界全体に仕掛けたものであり、世界の経済秩序を破り、重大な影響を与えている」
アメリカ側
「中国は長きにわたって、一方的で不公平な貿易慣行でアメリカだけでなく世界中の市場経済と労働者に損害を与えてきた」
非公式とはいえ、国際平和を目的とする安保理で関税について議論するのは異例です。
エスカレートする両国の応酬。ところが、ここにきて…。
トランプ大統領
「私たちは中国と公平な取引をする」
ウォールストリート・ジャーナルは現状の半分以下となる、50%から65%程度にする案などが浮上していると報じています。
「トランプ政権に神経質になっている金融市場や投資家を安心させる狙いがある」との分析もありますが…。
では、なぜアメリカと中国の駆け引きが日本の関税交渉に影響してくるのでしょうか…。
澤井尚子記者
「日本政府関係者はアメリカの株などマーケットの動きに注目している。アメリカ国内の物価が上がったり株は下がったりという悪い状況が続けばトランプ大統領は焦って、日本への追加関税などをやめるかもしれないと期待している。ある交渉関係者も、今回の中国を巡るトランプ大統領の変化は『好ましい動きだ』と分析しています」
■総理いら立ち?“コメの交渉”裏側
中国同様、日本への態度も軟化に向かうことを期待する石破政権。その一方で…。
澤井尚子記者
「トランプ政権は日替わりメニューですし、トップダウンですから交渉には難しさがあるとも話しています。交渉の方針といった基礎的なところすらグラグラしているので、どのカードを切れば効果があるのか、見極められていないそうです。そんななか2回目の協議に向けて、今、石破政権で敏感なテーマをなっているのがコメです。実際コメの輸入枠を拡大する案も政府内で浮上はしていますが、こうしたコメなどの農産品を交渉カードの一つとして日本側が譲る際には業界団体やいわゆる族議員などとの国内調整が必要になる。当の石破総理は『コメの話なんてしてないのに誰がしゃべっているんだ』とピリピリしているそうです」
赤沢大臣の訪米は、およそ1週間後に迫っています。