2025-04-12 12:13:19 配信
世界最古のロンドン地下鉄 「廃熱」で街を暖める

イギリス・ロンドンにある世界最古の地下鉄で、廃熱を住宅の暖房などに再利用する世界初の取り組みが始まっています。
日本がまだ幕末のころ、世界で初めて開業したロンドンの地下鉄。
毎日400万人の乗客を運んでいます。
しかし、施設の古さや狭さもあり、ほとんどの路線に空調設備はありません。
この地下鉄内の暖かい空気を住宅の暖房などに活用する、世界初の取り組みが行われています。
ロンドン北部・イズリントン区。住宅が多い地域で、最も混雑する路線沿いにあります。
町の中心部にある施設が、地下鉄の空気をリサイクルする拠点です。
その地下は…。
実はここ、1900年初頭に使われていた駅の跡。
空気をリサイクルする施設に、100年前の駅がリサイクルされています。
イズリントン区 サイモン・ボウルズ氏
「(地下鉄構内は)常に15から20℃の温度に保たれています。熱の多くは列車のブレーキから発生して、地中に熱が移ります」
巨大なタービンで吸い上げられた地下鉄内の空気から「ヒートポンプ」と呼ばれる技術で熱を取り出します。
その熱で作られた80℃近い温水が、パイプを通じて周辺の住宅や学校へと送られます。
イズリントン区 サイモン・ボウルズ氏
「(パイプは)現在15の施設に接続していて、熱を供給しています。スイミングプールやレジャーセンターの暖房にも使われています」
イズリントン区によると、このシステムが入る住宅の暖房費は一般住宅と比べて、およそ半額です。
住民
「仕組みはよく知りませんが、安いエネルギーでアパートを暖かく保ってくれています」
また、Co2排出量を年間500トン以上、削減しているといいます。
イギリス政府はロンドン中心部でも地下鉄などの廃熱を暖房に活用する計画を発表しました。
イズリントン区 サイモン・ボウルズ氏
「ロンドンの至るところに廃棄エネルギーを活用する機会がたくさんあります。その熱を集めてネットワークに組み込み、ロンドン全体で共有することが可能です」