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2025-04-13 23:30:27 配信

「スマホは除外」トランプ関税また方針転換 激安“SHEIN”に1万円超の関税も

関税の掛け合いとなっているアメリカと中国。週末になって、トランプ政権は「スマートフォンなどは相互関税から除外する」と発表しました。この方針転換で見えてきたのは、トランプ政権の足元を揺るがす“弱点”とも言える部分でした。

■貿易戦争 トランプ氏の弱点露呈

(CNN記者)「関税で揺れ動いた数週間の後に、大きな動きです。」
アメリカの税関・国境取締局は11日、スマートフォンやノートパソコンなどの電子機器、半導体製造装置などを相互関税の対象から除外すると通達を出しました。
Q.今回の決定について説明は?
(トランプ大統領)「その答えは月曜日にしよう。月曜日に具体的に説明する」
中国への追加関税が145%となったことで、中国で組み立てられたアップルのiPhoneなどの価格が大幅に値上がりする懸念が高まっていて、今回の決定は消費者の反発を回避する狙いがあるものとみられます。

■トランプ関税 “SHEIN村”直撃

米中の報復合戦に巻き込まれ、揺れる村があります。ここは中国発のアメリカで人気のファストファッションサイト、「SHEIN」の商品を製造する工場が立ち並ぶ通称、「シーイン村」。
(冨坂範明記者)「こちらシーイン村の中にある工場なのですが、中に人の気配はありません。服のようなものが置きっぱなしになっています」
村には1000軒を超える縫製工場があり、「SHEIN」の成長と共に発展をとげてきましたが…
Q.倒産の工場は多いですか?
(服飾関係で働く人)「多いですね。こんな不景気は初めてだ。私たちには何もできません。なすすべがありません」
実はこれまでアメリカは、800ドル以下の小口の商品には関税を免除していました。しかし今回のアメリカの追加関税で撤廃され、「SHEIN」商品も5月2日から120%、もしくは1つにつき100ドルの関税がかかることになります。
(「SHEIN」関係の工場で働く人)「関税の影響が来たら、生産をストップすることにします。コストを計算すると、生産した分だけ損します。もう知りませんよ。関税の波はこれからです。心の準備をしておかないと」
(冨坂範明記者)「こちら本来は、従業員を募集する掲示板なんですが、工場を貸し出すとかですね、工場を移転する、そういった通知が多くなっています」
工場の倒産や移転にともない、働き手もこの村から徐々に離れていっているといいます。
(仕事を探す人)「注文がもらえない、仕事がもらえない、そりゃやっていけないよ。関税の引き上げが要因の一つ、ここ数年(米国と)いがみ合っているから、貿易はどんどんダメになっているよ」
低価格と多様な商品で、アメリカ市場で大成功を収めた「SHEIN」。ブルームバーグのデータ分析会社によると、2021年以降、H&MやZARAを抑え、売上高シェアでトップを維持しています。アメリカの消費者は…
(「SHEIN」の利用者)「この帽子はSHEINのものです。服は安いし、品質も良いです。」
Q.関税が120%(または100ドル)かかることになるかもしれませんが?
「クレイジーですね。先日ネットで関税のことを読みましたが異常です。」
「(関税で)そんなに高くなるならもう買えません。ショッピング大好きだから本当に悲しい。本当に悲しいです。」
「私は古着屋さんで買います。」
「そうですね、古着屋で」

9日に発動した相互関税の上乗せ分について、わずか半日あまりで90日間停止すると発表したトランプ大統領。
(トランプ大統領)「債権市場は非常に扱いにくい。私は注視していた。」
CNNによると、ウォール街出身のベッセント財務長官らが、アメリカ国債が急落することへの懸念をトランプ大統領に直接伝えたことが、突然の方針転換につながったといいます。しかし中国に対しては…
(トランプ大統領)「『報復すれば倍返しだ』と私は言ってきた。中国が報復してきたから倍にしたんだ。」

■トランプ関税145% 苦しむ中国工場

報復してきた中国からの輸入品に145%の関税を課したアメリカ。これに対し中国は、関税を125%に引き上げましたが、今後報復があった場合は、無視する考えを示しました。
(トランプ大統領)「習近平国家主席とは仲良くやってきた。非常に良い関係だ。何かしら良い結果が得られるだろう。とても偉大で賢い指導者だからな」
関税145%に直面する工場は…
(冨坂範明記者)「こちら1日1万個の帽子を作る工場なのですが、こちらの段ボール、アメリカ向けの商品が箱詰めされています」
(アメリカに帽子を輸出する 馬剣峰さん)「こちらがアメリカ向けです」
2014年に創業したこちらの会社。海外の大手スポーツブランドやメジャーリーグ、NBAなどの帽子を制作しています。日本やヨーロッパにも輸出していますが、アメリカ向けが輸出の半分を占めるといいます。
(アメリカに帽子を輸出する 馬剣峰さん)「(アメリカ向けの)製造は続けていますが、1つの取引先の注文の大部分を製造したところで、その取引先から出荷を取りやめて欲しいとの要請を受けました」
馬さんは、新たな輸出先の開拓や工場の規模縮小なども考えていると言いますが、先が見通せないため今は何も決めることができないと話します。
(アメリカに帽子を輸出する 馬剣峰さん)「145%の関税だと、多くの企業が耐えられなくなると思う。今はみんな様子見をしています。この時点でのいかなる決定(経営判断)もリスクが伴うと思います。待つしかありません。どうなるか、もう誰にも分かりません。」


4月13日『有働Times』より

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